昼休み明け、ひとときの安らぎの時間を終えると、残り4時間、自席に張り付けの刑が始まる。
自ら望んで合っているとは言いがたい、拷問タイムの再開だ。
事務所の少し離れた席には、鼻歌族と呼んでいる2人組がいる。
30代の男女で、席が真横同士。アニメやゲームの話で盛り上がっては、片方が鼻歌を歌い始め、もう片方がそれに合わせにいく。今日はどうやら、女性の方がソロで歌っているようだった。
その日も、いつも通りの静かな鼻歌が、サイレントな事務所に小さく響いていた。
そこで、急に異変が起きた。
左のお尻の一部、骨盤の際あたりが、ピクッと震えたのだ。
最初は気のせいかと思った。
でも、数秒後、また来た。
「ツーツツツツーツツ」
まるで、自分の尻の筋肉が、勝手にモールス信号を打っているみたいだった。
しかも、よくよく意識してみると、その痙攣のリズムが、鼻歌のテンポと妙にシンクロしている。
自分の身体の一部が、他人のリズムに無断で乗っ取られている感覚。気持ち悪いのに、なぜか笑いそうになる自分もいた。
椅子の上で、バレないように、そっと座り直してみる。
誰も気づいていない。当たり前だ、事務所は静かだが、私の尻の中までは誰にも見えない。
なぜ、鼻歌のリズムに合わせて発症したのか。自分でも本当に不思議だった。
そして、鼻歌が止まって数分後、痙攣も、すっと落ち着いていった。
お尻が痙攣するなんて経験、社内ニート生活が始まってから、これが初めてだった。
ストレスの限界が、そろそろ近いのかもしれない。
最近は、事務所の共通の敵だった人もいなくなり、以前にも増して会話をする機会が減った。
溜まりに溜まった何かが、こういう形で出てきたのだろう。
何より、心と体の健康が一番だと、つくづく思わされた。
薄暗い、曇り空の昼下がりの出来事だった。
ストレスは、こんな形で体に出るものなのか。
皆さんも、どうかお気をつけて。
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