今週は、来客当番だった。
といっても、事務所に来る来客といえば、備品を注文したときに来る宅配業者か、モップとマットの交換業者くらいのものだ。
月に2〜3回程度、本当の来客者が来る。営業の商談相手である顧客、いわゆる法人だ。
そして今回、まさに、この久々の商談顧客がやってきた。
会議室に案内して、ペットボトルのお茶を出すだけ。誰にでもできる仕事だ。
しかし、今回、その顧客を案内してきた営業担当者に、問題があった。
エリアを跨いだ顧客のため、別拠点から当社の営業担当者が来たのだが、その男は、梅雨入り前のジメジメした気候にぴったりの、生乾き臭を携えてきたのだ。
私は入社1年未満のため、名前も顔も知らない、初対面の営業担当者だった。
この際、心の中で「生乾き男」と命名することにした。
生乾き男が歩いた後は、マスク越しでもはっきり分かる、鼻をつく強烈なにおいが残っていた。
来客者を会議室に案内したあと、私はすかさず事務所の窓を開けて、換気を行った。
これが、今の私にできる、精一杯の貢献だった。
営業たるもの、身だしなみのひとつとして、ニオイ対策も含まれるべきだと私は思う。
清潔感のない営業と商談をして、気持ちよく交渉が成立するとは、正直思えない。
来客者と、生乾き男を、会議室に閉じ込める形でドアを閉めた私は、なんとも言えない切ない気持ちになった。
来客者は、この空間で、どれくらいの時間、あの匂いに耐えるのだろう。
そんなことを、つい考えてしまった。
社会人は、たとえ相手が匂いを放っていたとしても、企業戦士として会社の看板を背負って一歩外に出れば、涼しい顔をして、愛想よく振る舞う必要がある。
そんなことを、来客対応を終えて自席に戻り、地蔵と化した私は、しみじみと思うのだった。
働く企業戦士たちよ。社内ニートも含めて、である。
梅雨時期、洗濯物が乾きにくいこの季節は、ニオイのエチケットも、どうか忘れずに。
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