【社内ニート日記③】沼の底に建つ事務所。水道水は下水の味……社内ニートの私が住む絶望

社内ニート日記
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会社の立地について、少し話しておきたい。

ここは、元は沼地だった土地を埋め立てて造られたらしい。

所長や、長くこの場所で働いている人たちが口を揃えてそう言う。

事務所が建つ前のこの土地を、実際に自分の目で見てきた人たちの話だから、ただの噂話とは重みが違う。

そう聞いてから、この土地そのものに、なんとなく呪いのようなものを感じるようになった。

そして、もうひとつ。

水道水が、めちゃくちゃまずい。

給湯室で蛇口をひねって手をすすぐたび、鼻につく独特のにおいがする。

飲み水として口にする気には、到底なれない。

「ここ、ほんとに人間が働く場所なのだろうか」

そう思わずにはいられない瞬間が、何度もある。

給料は激減し、自己肯定感も地の底に沈んでいく。

そんな中で、職場の”土地”にまで不信感を抱いてしまうのだから、我ながらどうかしていると思う。

でも、こういう些細な違和感の積み重ねが、じわじわと心を蝕んでいくのも事実だ。

きれいなオフィスビルだったら、まだ違ったのだろうか。

いや、たぶん違わない。

仕事があれば、水道水がまずかろうが、土地にどんな噂があろうが、そんなことを気にする余裕すらなかったはずだ。

暇だからこそ、どうでもいいことにまで神経が向いてしまう。

これも、社内ニートという状態が引き起こす、地味な副作用のひとつなのだと思う。

だから最近は、飲み水だけは毎日クリーンなものを持参するようにしている。

さすがに、あの水を体に取り込む気にはなれない。

食べるもの、飲むものくらいは、自分で守りたい。

これが、私にできる、ある意味での抵抗だ。

今日も、持参した水を飲みながら、私はこの沼の底に建つ事務所で、8時間を過ごしている。


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